映画:「スタンドアップ」

投稿者: Ceri 投稿日時: 水, 01/18/2006 - 23:54

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監督: ニキ・カーロ
出演: シャーリーズ・セロン、フランシス・マクドーマンド、ショーン・ビーン、ウディ・ハレルソン、シシー・スペイセク
原題: NORTH COUNTRY
制作: 2005 アメリカ

評価:★★☆☆☆

★2つと幾分厳しいような気もしますが・ルワンダを3つにしちゃったしなぁ…と悩んだ末のこと。まあ、こんな評価は毎回申しますように私評ですから、考えるまでもないことなんですけどね。ああ…どこぞの番組のように2つ半とか作っちゃおうかなぁなんて誘惑もでるほど★3つと悩みましたです、はい。
この悩み、端を発すると「SAYURI」になっちゃうんですね。あれ、2つにしたけど1つでよかったかなぁと思ってるわけです。もう自分以外は忘れちゃってるだろうから、ちょいちょいと★を書き換えちゃえばいいのかもしれませんが、いやに例のお正月のつまんなかった番組の大選手のように(イチローですけど、話がわからなかったらどうぞ古畑2,3夜を読んでくださいませ)「フェア」にこだわる自分がおります…う~ん、たいした問題じゃないよね(笑)

最初に言ってしまえば、私には女性が立ち上がる映画には見えなかったということ。
さて前半はもう道も歩けばいやなことがごろごろ転がってるごとくやりきれません。背景説明ですし話を動かす源だといえばそうなんでしょうけど、あそこまで「アホ」な男たちに我慢した後の復讐はもうスプラッターものになってもかまわないような感じでしたね(笑) まあ、彼女が我慢した後ろにはここにもやっぱり母の強さがあるわけです。最初、その母としては彼女はハイハイの幼児がやっと立ち上がったような感じでしょうか。DVの旦那さんから逃れ育った地元の偏見の中で地に近いはいつくばった視点からやっと少しばかり世間を見出したところ。だけどまだ幼児で身の丈は足りないって感じでしょうか。それが打ち出の小槌を振るわれた一寸法師のように大きくなっていくんですね。要するに他人が大きくしてくれるんです。自力という感じじゃないね。でも、生きることに必死さはあるから応援したくなる気持ちはあるんですがね、共感ということまではいかない。うん、あの町の1傍観者のごとくただ見つめてるような感じでした。それはこれがたった一つの解決の方法だとは思わないからかも知れません。子供を巻き添えにする環境は彼女の意に反したものだったとは思うけどそうなったときの判断と決断はまだほかにあったような気がするから…

原題が「NORTH COUNTRY」と倉本聰氏のドラマのような題名を邦題「スタンドアップ」にしたのか…。もちろん立ち上がって歩き出すこの女性ジョージィのことだと思いますよね。だけど彼女のことじゃんなかったんですねぇ(あ…彼女のことも掛け合わせてるのだとは思いますけどね)。それは、冴えない(見栄えのです…^^)友人弁護士の最後のフレーズです。これですね。結局は男性の台詞ということでした^^ネタバレになるのでこの辺にしておきますが… 彼女を立ち上がらせるためにこの友人(恋人じゃないのね…)弁護士や集団訴訟を段取ってくれた判事さんとかが居なければいけませんでした。そういう意味では彼女はただの駒という感じもしてしまいます。そう、母という存在だけど社会的には世間知らずのままだったんですから。

さて、もう一つこの映画に期待していた「胸の空くような思い」は残念ながらこちらも彼女が与えてくれたものではありませんでした。猿芝居のような労働集会で彼女は名を名乗って発言します。「私の名前はジョージィ・ジェームスです(直訳)」と。ああ…わたしここでたどたどしい発言の末きっとキメ言葉をいうんだろうってなんだか期待しすぎていました。う~ん「SAYURI」でみた予告から勝手にそういう脚本にしてましたね(笑) しかし結局、気持ちよかったのはここでのパパじゃないですか^^ それまで彼女のことを振り向いてもくれないような冷たそうな人がですよ、その人が言ってくれた言葉。あの時、シーソーがギィ~って大きな傾きから反対方向へと動き出した感じがはっきりしましたよ。ここから、はい、私は面白くなってきたんですね^^
法廷ものというほど巧みな話術合戦で見せてくれるわけではありませんが、それでも観衆を巻き込んでのジャッジが始まって展開していくのだろうと…、しかし、まあ結果はアメリカ人なら周知の事実なんでしょう、ここではあっさりとしか結末を演じてくれてません。その結末はただテロップで紹介されてそしてタイトルロール。

「キング・コング」のギラギラとした民衆に違和感を覚えるようにここに登場する男性陣、そして女性陣もやっぱり過去の人たちのようには感じます。だけど偏見や差別が今の時代に無くなったわけではないでしょう? スタイルを気にしたり、自分がそういう言動によって攻撃されないように隠されてるにすぎないですよね。そもそもジェンダーフリーを小学校でも習う時代ですがわざわざ唱えなければならないベースにはその偏見があるからですものね。そして差別って性差別だけじゃないから。弱さの中に弱さを攻撃するものが潜んでいるように思えます。強い人が弱い人を虐めるんじゃない。弱い人がさらなる弱い人を見つけ出して虐めるんです… まあ、みなさんもう気がついてることだろうと思いますが^^;「ホテル・ルワンダ」にも繋がってゆきますよね。
さて、この映画で一番救われたのは大勢の中で身動きのとれなかった良心を持っている人たちね。彼らはこの事件で彼女を養護することで自尊心は救われたでしょう。でもね、きっとジョージィは最後まで救われないんじゃないかなって…。彼女に対してきっとこの先も偏見と差別は消えないんだろうって思いが残ります。人って勝ち組にも嫉みも加わるんでしょうけどとても厳しいですから… そんな風にへそ曲がりな私は思っているのでした(汗)
でも…物語としては親子の絆も回復し一件落着のハッピーエンドですけどね^^

あ…それからお母さん役がシシー・スペイセクでしたけど、もうこんなに年取っちゃったのね。
まだ子供だった頃、「キャリー」という映画でどれだけ怖い思いをしたことか。でも、好きですよ。今回もね、とても日本のお母さんぽい感じのするお婆ちゃんを演じてましたね^^地味な役者をよく揃えてきたって感じだけどみんなとても上手な役者さんたちだったですね。
ああ…感想を書いてみたら★3つでも良いかなってまた思っちゃいました。う~ん…

追記:
さて…今更なんですがこれ皆さんの高評価に対し私一人ぽつねんと低い評価(まあいつもですが…笑) 更にはコメントを書きながら★3つと悩んだと言いながらもうたった2日後にはやっぱりこれは2つでも充分と片端に追いやった感があります^^;
いや、言い訳するわけではありませんが、コメントに付けたことをここにもちょっと書いておこうかなと。それですこしでもご理解いただけるかなと、まあ小心者は思ってるわけです(笑)
以下コメントに付けた私の言葉を引用します。

『「力もない。自信もない。味方もいない。それでも立ち上がってみようと思った」この(プロモ)コピーは酷い勘違いですよね(笑) 食品だったら訴えられちゃいますよ(笑) 彼女は社長というジョーカーを持ってる自信があったんですから…結果は使えないジョーカーでしたけどね。』

はい…これなんです。まあ、だからどうということではなくてこれが実話を扱う限界かと思うのね。これじゃ話が詰まらなくなってしまう。女性が描く映画ならもっと女性を素敵に脚色しても良かったかなと思ってます。これじゃ彼女の取った行動が勇気なのか安易なのか解らなくなりませんか?… ってことで★2つ決定です(相変わらす偉そうです^^)

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とても嬉しい。

ご意見が違うのはどうでも良いことです^^ 100人100様と言いますものそうでなければいけないんでしょう。映画って不思議なのは、「これは良いよ」と言われれば当然観たくなるんですけどね、「これはこういう所がとんでもなくダメな映画だと思った」などと聞いても観に行きたくなるんですよね(笑)どれかの記事にも書きましたが、良くも悪くも表現できる感動ってやっぱりパワーだと思ってます。
「SAYURI」は映像としてはとても綺麗だと思いますよ。変なところは全部ゴッサムで納得させればですね(笑)ただ、ああいう恋は嫌。女性だから恋物語は同調できるかがとても重要だったりするんです(笑)もう少し出会いも収まりも納得できるものならば私も映画の中で例え渡辺謙さんでも恋しますわ^^

さて素敵なコメントを頂きながらわたくしは相変わらず勝手にダラダラと書いてしまったようです^^;それにここは「スタンドアップ」の板でしたね^^
息子に真実を話すシーンは私も泣きました。だけどあの息子はその前のビーンとの会話でかなり80%は母の気持ちを理解しようと思ってくれてますよね。だから、あのシーンも少し説明し過ぎの言葉が多かったような気もしてます。寒い中外で待ってるだけで気持は通じたと思うから^^…なんて、また私こそ言い過ぎなんだよという声も聞こえるようですが(笑)

本当にたくさんお褒めいただいて光栄に思います。どうぞこれからも末永くお付き合いくださいませ。
ありがとうございました。

..by Ceri ..水, 01/25/2006 - 23:04

TBさせていただきました。前から好きでした。あなたのブログ。タイトルからしていい。内容も痛烈。いつしか、ブログ世論に迎合している自分に気付かされます。映画の見方はまるで、反対かもしれませんが(僕は「SAYURI」を評価するので)、あなたの姿勢にブログはこうでなきゃあ、と思い直しているところです。今回の映画が★★というのは納得できます。僕は「サイダーハウス・ルール」のシャーリーズ・セロンがどう変わったのか、を見に行ったまでです。定番のドラマ展開、アメリカ人の大好きな裁判での逆転勝訴なんか、すべて、ミエミエで、感動はできません。長男に告白するシーンが一番良かったと思います。ではまた来ます。

..by 京野菜 (未認証ユーザ) ..水, 01/25/2006 - 14:18

>さわわさま。

重箱突きが趣味のようになってます(笑)
それでも、映画はとても好きなんですよ。だからもっともっと良いものを作っていただきたいなってエールのつもりで言ってるわけで…

しかし…このサイトを始めてからなんだか自分の辛辣さが際だった気がしてちょっと怖いです^^;
まあ、切り口を変えると形も変わるという感じで個人的な意見(偏見とも言うかも^^;)聞き流してくださいませ^^

..by Ceri ..土, 01/21/2006 - 10:36

TBありがとうございました~
貴重な意見を読ませてもらいました!
そういう見方もあるんですね~
確かにおっしゃっていること、当ってますね
しかし個人的に余りタイトルとか気にしない方なので映画自体楽しめたのでいいかなーと思ってしまいました(^-^;)
甘い意見でしょうかね?(苦笑)

..by さわわ (未認証ユーザ) ..金, 01/20/2006 - 22:41

そうです。ここは「North Country」なんですよ。とても小さな小さな社会ね。もう女性はみんな隣の芝生が気になり男性は週末の酒場で淫猥な妄想で憂さを晴らしてるわけです(笑)
ただ彼女がこんな目に遭ってるのは単に社会が育ってないからだと私は思わなかった。
ご覧になるおつもりなら、ここでネタバレになっちゃったらダメですけどね^^
本当に少ない選択の中でもこの選択が正しいとも思っていません。勇気だったのかこれが安易だったのか…前のコメントにも書きましたが彼女は信じてる切り札もあったわけでね。
だから…
弱い女性でも自信のない女性でも無いと思ってます。ただ周りが無ければ彼女は生きてこないよね。だから一人で立つような映画ではないと感じました。ぜひご覧になって感想をお聞かせいただけると嬉しいわ^^

しかし…「北の国で立て!」はう~ん^^;「北の0年」でも良いかもです^^

..by Ceri ..金, 01/20/2006 - 15:46

コメントを読んでいると観たくなりますね。小生、セロンのファンではありますが、彼女の演技が上手いと思ったことは一度もありません。近年少なくなって来た「西洋人形」のような女優として(絶滅種ともいう)その存在を評価しているとでも言いましょうか。Ceriのコメントはかなり力が入っていますが、(単に言及しなかっただけかも知れませんが)物語の社会的、文化的背景から評価する視点が欠けているように感じました。だって、North Countryでしょ?或いは、描かれていないのかも知れないですね。実話がベースにあるとのことですから、現地社会の人々は皆知っている事件で、背景にある社会や文化はまさにGivenなものであり、物語のReferencePointとしては無意味なのかも知れません。だとしたら、「なんだよ、内輪受けの話を海外で興行するなよ」と言いたい気分になります。それにしても、邦題はどうにもダサいですね。「ノースカントリー」の方が客は呼べたと思いますね。ま、「北の国から2005」とかにしたら、間違って田中邦衛やじゅんに会いに来る人も客として見込めますからもっといいかも。。「北の国で立て!」なんてのも悪くないかも知れませんね。

..by 天野弱気 ..金, 01/20/2006 - 15:09

私も泣きましたよ^^同じ場面で。
ただね、期待外れの映画だったなって、もう2日もたつと思ってしまってます。ジャムリンさんの記事にもあるように「力もない。自信もない。味方もいない。それでも立ち上がってみようと思った」このコピーは酷い勘違いですよね(笑)食品だったら訴えられちゃいますよ(笑)彼女は社長というジョーカーを持ってる自信があったんですから…結果は使えないジョーカーでしたけどね。
基本は実話という背景と切り離して作品という観点からだけ批評していきたいなって思っています^^

ぜひこれからもよろしくお願いしますね^^

..by Ceri ..金, 01/20/2006 - 11:02

TBありがとうございました。

私は、この映画好きです。
何の予備知識もなく、内容も把握しずに行ったので期待せずに見れました。

集会場みたいなところで、父親がジョージを助けるシーン、裁判のシーンなどは泣いてしまいました。
5点満点なら4点です。

私のもTBさせてもらいました。

..by ジャムリン (未認証ユーザ) ..金, 01/20/2006 - 10:04

>いらっしゃいませ、masuさま。
さて、私、考えてみました。この映画やっぱりそんなに面白くなかった気がしてるんです。ブログ批評ではかなり評判の映画ですが私には期待はずれだったのかなと今現在は思うんですね。
まあ、それは宣伝のコピーの悪さにもよるところがあるんですけど、女性が作ったわりに女性を生かさない演出だったようで結局は彼女の無能さが際だった気がしてなりません。
これが実話と言うところの壁なのかも知れません。モンスターしかり心情的には評価したいけれど、作品としては足らない。皆さんが高評価するのはイマジネーションがずっと私より豊かなのかも知れませんね^^
…あ、熱く語りすぎたでしょうか^^;

..by Ceri ..木, 01/19/2006 - 23:51

TB有り難うございました。こちらからも頂きました!
>「彼女に対してきっとこの先も偏見と差別は消えないんだろうって思いが残ります。

に同感です。自分のブログには書きませんでしたが、エンドロールが流れている最中一人で同じ事を考えていました。憎しみは簡単には消えませんもんね。人の気持ちは簡単に変らないですし。

ただあの勇気には感服です!

..by masu (未認証ユーザ) ..木, 01/19/2006 - 15:00

いえいえ、そういう見え透く事をされるとかえって退いちゃいますね(笑)
この試写会とか女性対象のものが多かったりしたようですが、私には女性が立ち上がる映画には見えなかった。

映画三昧さんのサイトで語られてるようにこの主人公の強さは母と言うことですよね。だから周りの偏見に彼女は息子をかばうことで必死に耐えてるわけで… 男性達だけではなかったですよね彼女に対する偏見は。だから女性のジェンダーフリーだの女性の地位向上だのセクハラだのと女性向けのコマーシャリズムには納得がいかなかった気がするんですね…^^
結局は男女差のない「勇気」の話と言うことでしょうね^^

..by Ceri ..木, 01/19/2006 - 11:43

おそらく期待されていたのは、「スタンドプレイ」だったのでは?
「スタンドアップ」という邦題は、確かにその期待を連想させるので、
それで期待はずれに思う人もいるでしょうね。
原題は、いくらでも他にいい仕事がある都会ではなく、寂れた狭いコミュニティを連想させる風情のあるタイトルでした。訴えかけるものが微妙に違ってきますよね。
日本人には「スタンドアップ」というカタカナ英語がわかりやすかったみたいですけど(笑)。

..by 映画三昧 (未認証ユーザ) ..木, 01/19/2006 - 11:09